皆さんは今『昆虫食』が世界的ブームなのはご存知でしょうか。
ひと昔前まではゲテモノとしてのイメージが大きかった昆虫食ですが、スタートアップや大手食品会社の参入などもあり、コオロギせんべいを始めとした美味しく食べられる昆虫食が増えてきています。無印良品をはじめ、ドンキホーテやスーパーなどにも並んでいるので、一度は昆虫食を見かけたことがある方が多いのではないでしょうか。
昆虫食についてはこちらの記事でまとめています。
昆虫食は代替肉として注目されており、他の畜産動物に比べて飼育する上で効率が良く、また環境にも優しいので今後ますますラインナップが増えていくことでしょう。
ですが今注目されているのは昆虫『食』だけではありません! 昆虫を使って有機物(ゴミ)を分解するスタートアップから、微生物を使った化粧品まで、多くの用途で昆虫が注目されています!
今回はそんな昆虫を扱う注目スタートアップを5つほどまとめてみました!
<目次>
- Gryllus(グリラス)
- MUSCA(ムスカ)
- ユーグレナ
- Ellie(エリー)
- Grubin(グラビン)
Gryllus(グリラス)
設立:2019年5⽉/ 所在地:徳島/ 事業領域:昆虫食、有機物処理
グリラスは食用コオロギを養殖し、コオロギを使った食品の開発・販売を行っている徳島大学発のスタートアップです。
給餌・給水・収穫・清掃の4つの工程を自動化した独自開発の半自動飼育システムを導入し、今問題になっているフードロスなどの食品廃棄物(=ゴミ)からコオロギを育てています。食料危機が騒がれる中、食料としても効率の良いコオロギをゴミから生み出すこの取り組みは、SDGs達成に向けたものとしても注目されています。
また、先日発売され話題になり、店頭でも連日売り切れの『コオロギせんべい』を無印良品と開発したのもグリラスです。
今後、需要に合わせて生産拠点を拡大し、より一層伸びていくスタートアップと言えます。
会社URL:https://gryllus.jp/
MUSCA(ムスカ)
設立:2016年12月/ 所在地:東京/ 事業領域:有機物処理、飼料、肥料
ムスカはイエバエを使い生ゴミなどの有機物を処理するプラントを開発・販売するスタートアップです。ビジネスモデルとしては、プラントやハエの卵などの必要資源を販売し、その後のプラントの管理運営や幼虫の買い取りを行い、 自社の販売ルートを使って幼虫を飼料や肥料に加工・販売する形です。
現在は飼料や肥料の開発、プラントの建設段階ですが、丸紅や伊藤忠などから総額10億円以上の資金調達をしています。またこのイエバエはムスカ独自の厳選交配で分解力の高いイエバエとなっており、イエバエの飼育方法・設備についての特許も取得しているので、今後急速に成長していくスタートアップと言えます。
会社URL:https://musca.info/
ユーグレナ
設立:2005年8月/ 所在地:東京/ 事業領域:美容・健康食品
ユーグレナはミドリムシを使った美容・健康食品やサプリメントなどを開発・販売する会社です。ミドリムシ自体は微生物であり、ワカメやコンブなどの藻の一種なので「虫」ではないのですが、名前にムシが入っていることや、今回唯一上場している会社なので取り上げてみました。
ミドリムシを使った化粧品、健康食品ともに豊富なラインナップを発売し、また培養や製造方法などミドリムシ関連の特許を多く取得しており、自社の4つの研究所で日々研究を行なっています。
そんなユーグレナは現在時価総額が800億円以上あり、虫系スタートアップの大成功例の1つと言えるのではないでしょうか!また他にもミドリムシを使ったバイオ燃料の開発や遺伝子検査事業も行なっているので、今後更なる成長を期待できるスタートアップと言えます。
会社URL:https://www.euglena.jp/
Ellie(エリー)
設立:2017年7月/ 所在地:東京/ 事業領域:昆虫食
エリーはカイコを使った昆虫食を開発・販売しているスタートアップです。カイコは5,000年も続いていると言われる絹産業において品種飼料を重ねた結果、羽があるのに飛べないなど野生への回帰能力のない生き物です。
そんなカイコを活用し、カイコチップスやカイコスムージーなどを開発・販売しており、東京大学や京都大学などと研究を行なっています。2020年2月時点では時価総額が2億4,000万円と言われており、表参道でのカイコハンバーガーショップ(期間限定)などのイベントも成功さているので、今後さらに成長していくスタートアップと言えます。
会社URL:https://www.ellieinc.co.jp/
Grubin(グラビン)
設立:2017年頃/ 所在地:東京?/ 事業領域:有機物処理
グラビンはミズアブを使ったゴミ分解システムを開発・販売しています。こちらはムスカとは違い、部屋に置くインテリアのようなサイズのシステムで、その構造は2層で上から①植物 + ミズアブ、②水槽となっています。ゴミを①の層に入れると、それをミズアブが分解しそのフンで植物は育ち、大きく成長したミズアブ(幼虫)は下の水槽に落下し魚の餌となる、といった仕組みです。
このシステムは電通などの大企業と共同で開発しており、ミズアブの層のカバーのデザインを選べるなど、インテリアとしてのデザイン性も考えられています。またメンバー全員が東京大学出身ということもあって、2018年には東京大学総長賞を受賞しており、今後の成長にも期待のスタートアップです。
会社URL:https://grubin.jp/ja/
まとめ
昆虫を扱うスタートアップ5選、どのスタートアップもやり方は違えど、昆虫と共に環境や社会を良くしたいという方向性は一緒でした。
今後も昆虫を扱うスタートアップはガンガン出てくるので、今後の昆虫業界にも注目したいですね!